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日本で、日本人母と外国人父との間に生まれた子の国籍


日本で、日本人母と外国人父との間に、つまり国際結婚によって生まれた子の国籍はどうなるのでしょうか。

日本ではほかの多くの国と同様に「血統主義」が採られており、国籍法第二条で以下の通りに書かれています。

第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。

一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。

つまり、「父または母が日本国民であれば、子も日本国籍を取得する」ということであり、日本で日本人母から生まれた子は出生と同時に日本国籍を当然に取得します。

実務上は、日本の役所に出生届を出すことによって、日本国籍を正式に取得するということなります。

一方で、外国人父の国の国籍法も当然に子どもの国籍に影響します。外国も多くの国は「血統主義」をとっています。

例えばですが、

中国:父母いずれかが中国人なら、出生地に関わらず中国国籍

韓国:父母いずれかが韓国人なら、出生地に関わらず韓国国籍

ところが、アメリカ「出生地主義」をとっているため、

アメリカ:アメリカで生まれた子はアメリカ国籍

ということになります。

いずれにせよ、結局のところ、日本で生まれた、日本人母と外国人父との間の子どもは、二重国籍になるケースが多いと言えます。

そして、日本は二重国籍を認めていない国ですから、その二重国籍の子どもは、日本では、国籍法第14条の規定により、基本的に20歳までに国籍選択をしなければならないということになります。


日本人母と中国人父(永住者)の場合

これまで、中国、韓国、アメリカを例にしてきましたが、中国については、実は話は簡単ではありません。

中国の国籍法第5条の但し書きには、原文を日本語に翻訳すると、以下のように書かれています。

父または母が中国公民である場合、その子が出生の時に中国国籍を有する。
ただし、父母の一方が中国公民であり、かつ外国で出生し、その親が外国に定住していて、その子が出生と同時に外国国籍を取得した場合は、この限りではない。

この条文に従って考えれば、例えば中国人父が日本の永住者だとしたら、「その親が外国に定住」に該当し、また、日本人母から生まれてきた子どもは、「出生と同時に外国国籍を取得」ということになります。

つまり、以下のようなケース、

父:中国国籍かつ日本の永住者
母:日本国籍
子:日本で出生

というケースでは、その子は中国国籍を取得しないということになるわけです。

中国大使館・領事館にその子の出生登録手続きに行っても、おそらく、それは認められないということになる可能性が強いです。(特別なケースというのがあるかもしれませんから、中国大使館・領事館に一応、確認してみてはいかがかとは思います。)

戸籍上の話をしますと、元々、外国人配偶者は、日本の戸籍には入れませんから、上記のケースで言えば、中国人父(夫)は、日本人母(妻)の戸籍に、外国人配偶者として記載されるにとどまります。

一方で、子どもは、日本人母(妻)の戸籍に入って、日本人母(妻)の氏を名乗るということになります。

この中国人父(夫)が日本に帰化し、日本で新たに戸籍を編製すれば、日本人母(妻)と子どもは、日本人となった父(夫)の新しい戸籍に移って(入籍して)、父(夫)の氏を名乗ることができるということになってきます。

外国人同士の子どもの国籍、戸籍の話は、結構難しいと言えます。帰化申請をお考えの、日本人の配偶者である外国人の方は、帰化許可後のことも見据えて、行政書士などの専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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