目次
(この記事は最新情報である)
まず真っ先に考えること:生計の安定
■世帯主(父・夫)が「技術・人文知識・国際業務(技人国)」、配偶者(母・妻)・子ども二人が「家族滞在」という、四人家族の例を二つ比較してみます。
A家族
世帯主(父・夫) 47歳
配偶者(母・妻) 45歳
長男(大学生) 19歳
長女(高校生) 17歳
B家族
世帯主(父・夫) 37歳
配偶者(母・妻) 35歳
長男(小学生) 9歳
長女(小学生) 7歳
■四人家族ということだと、ざっくり、世帯主(父・夫)の年収は300万円以上でOK、というふうに言われていますが・・・。
■そもそも、帰化の生計要件としては、年収がいくらかということもありますが、それは表面的な話であって、生計の中身が安定しているかどうかということが重要です。
■A家族の方が、B家族よりも10歳年上家族であり、A家族とB家族とでは、子どもの年齢からして、生計の中身が全然違ってくるはずです。
■どう考えても、A家族は年収300万円では足りない、いや、400万円でも厳しいかもしれません。
■A家族くらいの年齢の家族になってくると、子どもがまさに食べ盛りで食費もかかるでしょうし、そして何よりも、子どもの学費が重たくなってきます。
■妻や子ども二人が、アルバイトすることができたとしても、それは「資格外活動」で週に28時間までですから、やはり世帯主の稼ぎが、それ相応の金額でないと、厳しいということになります。
■法務省所定の帰化許可申請書類の一部である「生計の概要(その1)」は、以下のような表になっています。
(法務省HPより抜粋)

■収入合計と支出合計は合計が一致しなければいけませんが、というか、収入の方が多い、つまり支出の「生命保険等掛金」、「預貯金」、「その他」に数字が書かれている、ここに数字が自然と書けるような、実態として、そんな収入と支出のバランスになっていることが望ましいです。
■しかし、A家族の場合だと、食費、教育費、特に教育費が膨らんできて、収入と支出のバランスを圧迫することになります。(これは、日本人の家族でも同じことです)
■当然のことながら、家族・世帯として、生計が安定しているかが問われます。
■A家族の場合は、実態的に、とても年収300万円では足りないだろう、というふうに見えます。
■一方で、B家族は、子どもがまだ小さくて、お金がそんなにかからないので、年収300万円でも、質素な生活をしていれば、問題なさそうということになります。
生計面以外の注意点1:日本語能力
■15歳未満の子どもは、親と一緒の帰化申請だと、そもそも法務局への本人出頭の義務がないので、日本語能力も問われませんが、他方、15歳以上は本人出頭義務があり、日本語能力が問われます。
■A家族とB家族を比べると、A家族は全員が日本語能力を問われる、B家族は子ども2人が日本語能力を問われないということになります。
■日本語能力が低ければ、家族の内一人だけ、例えば配偶者(母・妻)だけが不許可、という事態も十分にあり得ます。
■子どもは学校で日本語を自然と学習する環境にあると考えられますが、配偶者(母・妻)は、日本語を学習する機会が少ないかもしれません。
■家庭内では日頃から、日本語で話をするようにした方がよいですね。
生計面以外の注意点2:素行善良
■家族全員が「素行善良」であることが必要です。
■家族の誰かに重大な交通違反や刑事処分歴があると、家族全体の審査に影響します。
■例えば、A家族だと、仮に長男が運転免許を取って一年、その間にスピード違反、一時停止違反などがあるとします。これらは軽微であっても、複数回の交通違反があると、それは家族全体の帰化審査に影響してしまうということなります。
居住要件について(注意点ではない)
■家族全員が、原則として、日本に5年以上継続して居住していることが必要、ということになりますが、これは原則ということです。
■この居住要件は、「家族滞在」の家族の方は、帰化申請時点で5年に少し届かない程度、4年半くらいということであれば、問題視されないこともあるようです。
■法務局に一度、事前に確認・相談することをお勧めします。