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(この記事は最新情報である)
「老親扶養ビザ」とは
■そもそも「老親扶養ビザ」なるものは、日本にはありません。
■基本的に、本国から日本に親を呼び寄せるというのは、非常に難しいということになります。
■帰化して日本国籍を取得した人であっても、あるいは永住資格を取得した人でもあっても、このことによって親の呼び寄せができるということには、残念ながら、なりません。
■いわゆる「老親扶養ビザ」というのは、告示外の「特定活動ビザ」ということなります。
■「特定活動ビザ」には告示されているものと告示されていないもの(告示外)があり、告示されている「特定活動ビザ」は1号、2号、3号・・・というように、50号まであります(2023年1月時点、11号、13号、14号は削除)。
※法務省のHPより

■上記表の通り、「老親扶養」という意味での「特定活動ビザ」は、告示50号までに入っていません。
■「老親扶養ビザ」と呼ばれるものは、「個々に活動の内容を判断して、その入国・在留を認めるもの」とされている、告示外の「特定活動ビザ」なのです。
「老親扶養ビザ」が認められるためには
■では、どういう場合に、この「老親扶養ビザ」としての「特定活動ビザ」が認められるのか。
基本的に5つの要件があると考えられます。
①一人での生活が困難
・持病を抱えていたり、病気の後遺症が残っていたりしていて、本国で一人では生活していけないといった状態。
②本国や第三国にも身寄りがない
・父母両方生きていて、そのどちらかが元気だと、身寄りがないとは言えません。
・子が他にいる、あるいは親の兄弟がいるなど、本国に面倒をみることができる親族がいる場合も、身寄りがないとは言えません。
・あるいは第三国であっても、子がいる場合、その子の方で面倒をみれないのか、という話にもなってきます。
・上記のようなケースに該当せず、「本当に身寄りがない」といった状態。
③70歳以上
・あくまでも高齢という意味での目安となります。
④親を日本で扶養できるだけの経済力が子にある
・文字通り、親を呼び寄せて扶養するだけの経済力がその子にあるか、ということです。
・呼び寄せた後に結局経済的に扶養できない、あるいは親が実は元気で日本で働きだす、というようなことはあってはならないということです。
⑤子が本国で生活できない(日本を離れられない)
・「親のことが心配だったら、自分が本国に帰って面倒みればいいんじゃないの」という論点もあります。
・上記において、帰化したり永住資格を取ったからといって、親の呼び寄せができるようになるものではないと書いていますが、日本への定着性があれば、本国まで面倒をみに行けないという理屈にもなりうるわけで、帰化や永住はこの⑤においては、プラスに働くと考えられます。
・また、日本の会社で重要な地位にある、重要な役割がある、本国に帰られては日本として損失だ、というような場合も、⑤においてはプラス要因と考えられます。
■こうして見てくると、少なくとも、両親とも呼び寄せというのは、ほぼ難しいものと考えられます(しかし可能性はゼロではなく、例えば両親ともに介護状態で、周りに面倒を見る親族もいない、というような場合は、両親に「老親扶養ビザ」が認められる可能性はあります)。
呼び寄せを可能とする要件の「立証」が大変
■「老親扶養ビザ」で一番大変なのは、「立証」です。
■「病気である」「身寄りがない」「呼び寄せる経済力がある」「自分が日本を離れるわけにいかない」といったことを、いかに「立証」していくかが、大変な作業になってきます。
■例えばですが、本国に子や兄弟がいたとしても、その人たちが病気だとか、経済的に困窮しているとか、人の面倒を見られるような状態ではない、ということであれば、これは「身寄りがない」という説明も成り立ちます。
■しかし、外国にいるこれら親類の状況を「立証」していくことは、極めて困難な作業になってくるものと思われます。