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「留学」ビザの在留期限

海外留学生が日本の大学等を3月に卒業するとすれば、その「留学」ビザの在留期限は通常、5月という方が多いと思います。

そのようなスケジュールのもと、留学生の方には卒業後に、
①母国に帰る
②日本の会社に就職する
③日本で就職活動を続ける
④日本で起業する
といった選択肢があろうかと思います。


■『②日本の会社に就職するは「留学」→「技術・人文知識・国際業務」、『③日本で就職活動を続ける』は「留学」→「特定活動」といったように、「留学」の在留期限まで在留資格(ビザ)の変更をする必要があり、この2つパターンは、いわば一般的な形です。

しかし学生が卒業後、社会経験も浅いままに『④日本で起業する』というのは、非常に難易度の高い選択肢となり、ましてや、卒業間近になってから起業を決断し、「留学」→「経営・管理」への変更許可申請をするとなると、そもそも「経営・管理」は難易度が高く、審査時間も相応にかかり、「留学」の在留期限までの残りの期間では、スケジュールが極めてタイトです。

出入国在留管理庁が毎月発表している「在留審査処理期間(日数)」によると、令和6年12月許可分で、「経営・管理」への変更処分の日数は69.7日となっています。

しかし、人にはそれぞれの事情もありますし、留学」の在留期限までに「経営・管理」への変更、「ワンチャンいけるかもしれない」ということでチャレンジするなら、それはそれで、覚悟ある立派な決断だと思います。


「経営・管理」ビザの基本条件

日本の大学等の留学生が、卒業後に経営者となろうする「留学」→「経営・管理」の変更許可申請は、海外にいる起業家が、日本にいる協力者を介して行う「経営・管理」の認定許可申請と比べれば、難易度は下がりますし、審査期間も短いということは言えます。

「経営・管理」の認定処分は、入管発表の「在留審査処理期間(日数):令和6年12月許可分」では、122.1日となっており、変更処分の2倍近くの日数がかかっています。

既に日本にいて個人の銀行口座も保有する留学生が、起業に着手し「経営・管理」ビザの取得を目指す場合は、基本的に以下のような流れになろうかと思います。

事業所の確保(最初は個人名義で契約、変更申請前に法人名義に)

出処の説明ができる資本金500万円の払い込み

定款認証→会社設立登記→税務署他各種届出

事業計画書の作成

⑤入管に申請

⑤までを、遅くとも3月中には完了させないと、「留学」の在留期限までに、「経営・管理」の変更許可を取るのは、非常に難しくなりますし、そもそもタイムオーバーの感が否めなくなってきます。


「スタートアップビザ」という選択肢

起業準備をするためビザ、いわゆる「スタートアップビザ」というものがあります。

ざっくりと区分すると3つあり、3つのうちの2つが、
経済産業省のスタートアップビザ
内閣府のスタートアップビザ
ということになります。

いずれも、経産省や内閣府の認定自治体にまずは「確認申請」をして、その「確認」、つまり「推薦状」のようなものを取った上で、入管に、経産省のスタートアップビザは「特定活動(6ヵ月)」内閣府のスタートアップビザは「経営・管理(6ヵ月)」への変更申請を行うというものです。

ちなみに、経産省のスタートアップビザには現状、認定自治体に東京都が含まれていないのですが、但し渋谷区は認定自治体です。

この渋谷区のスタートアップビザは、渋谷区で創業しなければならないとか、渋谷区民でなければならないとか、そういう縛りはないとのことです。

この経産省のスタートアップビザ自体は全国各地に認定自治体があるわけですが、かなり事業自体に革新性を求められるとのことで、「確認審査」のハードルは結構高いようです。

内閣府のスタートアップビザは、その名が「国家戦略特別区域 外国人創業活動促進事業というもので、つまり「国家戦略特区」が認定自治体の対象になっており、東京都は認定自治体です。

しかし、この東京都のスタートアップビザは、卒業間近の留学生、つまり卒業まで2カ月を切っている人は、「確認申請」の受付を締め切っているとのことであり、事実上、今(2025年2月)となっては使えません。

加えて、令和7年度中には、経産省のスタートアップビザと、内閣府のスタートアップビザは、経産省のスタートアップビザの方に統合、一本化されることが決まっており、来年(令和8年)の留学生卒業生も、内閣府のスタートアップビザは、もう使えないということになります。

3つのうちの3つめとしては、経産省、内閣府とは別に、

「留学生就職促進プログラム」
「スーパーグローバル大学創成支援事業」

というものがあります。

これらのプログラム・事業の採択校若しくは参画校に在籍中から起業活動を行っていた留学生が卒業後も継続して起業活動を行うことを希望する場合に、一定の要件を満たすことを前提として、「特定活動」による最長で2年間の在留を認める、というものです。

このスタートアップビザは、採択校若しくは参画校の留学生であれば、「特定活動」の期間で起業活動を行い、「経営・管理」に変更するという流れで行けるわけですが、対象学生は限られるということになります。

以上が、スタートアップビザというものですが、普通に「経営・管理」の申請をするのと比べて難易度、スピードがどうなのか、というのはケースバイケースとしか言えません。


「特例期間」がある


決してこれをあてにしてはいけないのですが、「留学」の在留期限までに、変更申請をしていれば、在留期限までにその許可が出ない場合、「特例期間」というものがあります。

「特例期間」というのは2カ月間、在留期限が延長されるというものであり、そうすると、事実上、5月ではなく7月が在留期限ということになるわけです。

「特例期間」中にも、許可が結局取れなければ、帰国するしかなくなるわけですが、そこまでの覚悟であれば、この「特例期間」も見越して、「経営・管理」の変更申請にチャレンジするというのも、ありかもしれません。


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