(この記事は最新情報である)

「特例期間」とは

「特例期間」は、在留期間の満了日前に、更新・変更の申請をしていれば、満了日までにその更新・変更の許可が出ない場合でも、2カ月間は更新・変更前の在留資格で、日本に在留し続けられるというもの(すぐにはオーバーステイという形にはならない)。

在留資格の更新・変更申請を行っている場合、在留カードの裏面に「申請中」のスタンプが押されますが、これは、在留期間の満了日から2カ月間の「特例期間」が付与されているということを意味します。

オンライン申請では、申請の受付時に在留カードの裏面に「申請中」のスタンプは押されないということになりますが、申請受付が完了した翌日に「申請受付番号等が記載された受付完了メール」が送信されるので、これが、2カ月間の「特例期間」が付与されているということを意味します。

この「特例期間」の2カ月間で、更新・変更の許可が出れば、めでたしめでたしという話です。


「特例期間」に起り得る銀行口座の問題

「特例期間」の2カ月間に、実は非常に困った事態も起こり得る、それはつまり、銀行口座が使えなくなるかもしれない、ということがあります。

各銀行はホームページで、ざっくりまとめて、次のようなことを言っています。

マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止のため、定期的に、順次に、お客さま情報や口座の利用目的を「確認」させていただいています』

マネー・ローンダリングとは、資金洗浄のことであり、犯罪によって得られた資金の出所や所有者をわからなくして、捜査機関による差し押さえや摘発を逃れるための行為。

この銀行の「確認」は、在留資格(ビザ)を持って日本に在留する外国人の口座も対象となります。

在日外国人の方は、銀行口座開設時在留カードを本人確認書類として提示しているはずで、銀行はその際に、在留期間満了日を把握しています。

そして銀行は、在留期間満了日が近づいてくると、手紙などで、更新・変更後の在留カードのコピーを提出するように求めてきます。

この銀行の求めに応じないまま、あるいは応じられないまま、在留期間満了日を超過した場合に、銀行は、預金規定に基づき、口座を使えなくする、つまりお金が出金できなくなる措置をとるということになります。
(「確認」の手紙などが来ていることに気が付かなくて放置となった場合も、それは「応じない」ということになります)

よって「特例期間」は特に要注意ということになります。

外国人つまり口座保有者から銀行に対し「特例期間」中であることについて報告をしない限り、銀行側からすれば、「特例期間」は単に在留期間満了日を超過している状態、というふうにしか見えないわけです。

こうして「特例期間」においては特に、銀行口座が使えなくなる、お金が出金できなくなるかもしれない、というリスクが高まります。

筆者がいくつかの銀行のホームページを見たところ、在留期間満了日超過の場合の措置として、

「お取引を制限させていただきます

「サービスの全部または一部を制限させていただくことがあります

「口座のご利用が出来なくなることもございます

といったようなことが書かれています。

「特例期間」について、銀行は知ってか知らずか、とにかく「特例期間」のことについて触れている銀行は、ほぼ無いようです(知らないということはないとは思いますが・・・)。

ただ、筆者が調べた限りにおいて、一行だけ、ホームページに、こんなふうに書かれている銀行がありました。

「在留期間満了日から2カ月を経過したお客さまには、キャッシュカードのご利用に制限を設けております

この銀行は「特例期間」のことが分かっているように思われ、また、「特例期間」の2カ月間、逆に、銀行に何も報告しなくても、預金口座は使えると言っているに等しいと言えます。

このように、銀行によって対応はまちまちで、

「制限する」

「制限することもある」

「2カ月後に制限する」

といった異なった言い回しを各銀行がしているわけですが、いずれにせよ「特例期間」中に、銀行の口座から給料が出金できないといった事態が、最悪、起こり得るわけです。


「特例期間」の対応は?

このような、銀行口座凍結、といった事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。

「こうすれば必ず大丈夫」といった方法は正直言ってわかりません(各銀行の対応しだいです)。

銀行口座凍結のリスクを下げる手立てとしては、「特例期間」に入ってしまった方は、そのことを、エビデンスをもって、例えば上記でご説明した、在留カードの裏面の「申請中」のスタンプを、銀行に行って見せるなどして、報告するよりほかないと思われます。

あるいは、「特例期間」に入る前であれば、銀行が、在留期間満了日前に手紙などで「確認」をしてきた際に、きちんと返答する、ということが大切となってきます。

更新・変更後の在留カードのコピーが出せないとしても、「特例期間」中であると説明を尽くすことは、最低限すべきことと思われます。

とにかく、在留資格(ビザ)の更新・変更の申請は早めにやることが大切です。

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