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規制改革前の外国人美容師

■従来、日本に在留する外国人は、日本の国家資格である美容師国家試験(※)に合格して、美容師免許を取得したとしても、就労制限のない身分系の在留資格(「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」)を持っていないと、日本の美容室で美容師として働くことはできませんでした。

※美容師国家試験を受験するためには、厚生労働大臣または都道府県知事の指定した美容師養成施設に入学し、中間・夜間課程の通常課程は2年以上、または通信課程3年以上の課程を修了する必要があります。

■つまり、日本の美容師養成施設で修学する外国人留学生が、美容師免許を取得したとしても、日本で美容師として就労するための在留資格がなかったのです。

■そんな中、2021年(令和3年)7月30日に、内閣府・法務省・厚生労働省において、「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領」が決定しました。

■この要領には、最初にこのように書かれています。

第1 目的
この要領は、我が国で美容に関する実践経験を積んだ人材の海外における活躍を推進することを通じ、日本の美容製品の輸出による産業競争力の強化やブランド向上を含むクールジャパンの推進を図るとともに、インバウンドの需要に対応するため、日本の美容師免許を有する外国人材を育成する国家戦略特別区域外国人美容師育成事業(以下「本事業」という。)に関して、その実施に必要な事項を定め、もって本制度を適正かつ円滑に実施することを目的とする。

■この「目的」では、
「日本で働く外国人の雇用を促進する」、「日本で働く外国人を増やす」
というような言葉は出てこなくて、
「クールジャパンの推進」、「将来的に母国に帰って日本の美容技術、美容製品を広めてもらう」
というのが、この事業の根本的な目的ということになっています。

■とはいえ、外国人美容師が日本で働く、その入口が大きく広がったことに、間違いはありません。


規制改革後の外国人美容師

■こうして、2022年(令和4年)10月1日に「国家戦略特区外国人美容師育成事業」が始まりました。

■一定の要件の下、日本の美容師養成施設を卒業して美容師免許を取得した外国人留学生に対し、美容師として就労するための在留資格「特定活動」最大5年間認めることとなり、現在、東京都内において外国人が美容師として就労することが可能になっています。

■この事業の概要は、内閣府のHPによると、以下の図の通りとなります。


(内閣府のHP「国家戦略特区・地方創生推進事務局」より抜粋・引用)

「育成機関」は、外国人美容師を雇用する「美容室」のことです。

「監理実施機関」は、外国人美容師と「育成機関」の間に入って、外国人美容師をサポートし、そして「育成機関」を管理・監督する立場にあります。

「育成機関」は、「監理実施機関」を通して、この「外国人美容師育成事業」に定められた「育成計画」を関係自治体に提出し、その自治体に「育成計画」の認定を受けることにより、外国人美容師を雇用できるようになります。

■この「育成計画」は外国人美容師1人ずつ申請が必要で、1美容室あたり、3人まで外国人美容師を育成できるということになっています。

■「監理実施機関」は、「育成計画」の作成指導を行い、「育成計画」認定後も、「育成機関」の「育成計画」の実施状況について監査をしたり、外国人美容師の相談、苦情を受け付けたり、面接をしたりもします。

■東京都では「監理実施機関」を、2022年(令和4年)8月10日に決定しています。

2024年(令和6年)11月15日現在、
東京都において、
・監理実施機関:一般社団法人外国人美容師監理実施機関
・育成機関(美容室):25美容室(16法人・1個人事業主)
となっています。


外国人美容師の在留資格「特定活動」の要件


■この事業の仕組みの下では、外国人美容師が在留資格(ビザ)を「留学」から「特定活動」に切り替えることになりますが、そのときの要件は以下のようなのものがあります。

・成績優秀で、素行が善良である

・帰国後は日本式美容に関する技術・文化を世界に発信する意思がある

・日本語能力がある

などがあります。

■「素行善良」というのは、例えばですが、美容師養成施設において授業に欠席続きだったり、「資格外活動」の週28時間を超えてアルバイトしていたりする場合が、「素行善良でない」と考えられます。

■「日本語能力」は、日本語能力試験のN2以上のレベルとされています。

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