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フィリピン人の在留者数・帰化許可者数の動向
■直近、令和5年末(2023年末)の、日本に在留するフィリピン人の数は322,046人で、ランキング第4位、前年末比で+23,306人となっています。
■10年前の平成25年末(2013年末)のフィリピン人の数は、209,183人で、10年間で約1.5倍と、コロナ禍での停滞状態の期間を除き、堅調な増加推移を見せています。
■日本に在留するフィリピン人は、1970年代にさかのぼる歴史的な背景(フィリピン人女性を多く受け入れた)もあり、令和5年末(2023年末)ではその43%が「永住者」、次いで19%が「定住者」、「永住者」「定住者」を合わせると在留者全体の62%を占めるという構成になっています。
■また近年のフィリピン人の増加は、「技能実習」「特定技能」といった就労系ビザで働く人が増えているということがあります。
■令和5年(2023年)のフィリピン人の帰化許可者数は347人、ランキングでは第5位。過去5年同順位(令和2年(2020年)は第4位)であり、上位で安定した許可者数となっています(法務省発表)。
フィリピン人の帰化申請に必要な本国書類
■フィリピン人に限らず、帰化申請において必要になる本国書類としては、基本的には、次のようなものがあげられます。
・国籍証明書(本人)
・出生証明書(本人、兄弟姉妹)
・結婚証明書(父母、(結婚していれば)本人)
・家族関係証明書
・死亡証明書(父母、兄弟姉妹が死んでいる場合)
・申述書(役所等が発行する書類ではない、両親(基本的には母親)に書いてもらう)
■しかし、フィリピンの場合、本国書類について、他の国とは違った特殊性があります。
■まず、フィリピンの場合、国籍証明書と家族関係証明書の取得ができません。
■よって、国籍証明書(本人)に代わる書類が必要、ということになってくるわけですが、日本の法務局では、
「PSA発行のアポスティーユ認証済の出生証明書」+「有効なパスポート」の2種類
が、国籍証明書の代わりとされています。
■ここで初めて聞くような言葉が2つ出てきたと思います。「PSA」と「アポスティーユ認証」。
■まず、フィリピンでは、他の国のように役所には各証明書を発行する権限がなく、2013年9月より「フィリピン統計局=PSA(Philippine Statistics Authority)」が、フィリピン人の各証明書を発行する正当な権限を有する行政機関としての役割を担っています。
■よって、出生証明書(本人、兄弟姉妹)や結婚証明書(父母、本人)はPSAから発行してもらうことになります。
※PSAはデリバリーサービス(出生証明書、結婚証明書、死亡証明書などを自宅へ届けるオンラインサービス、外国宛も含む)も行っています。
■また「アポスティーユ」とは「認証不要条約(外国公文書の認証を不要とする条約)」にもとづく、付箋による外務省の証明のことで、具体的には、「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。
■日本とフィリピンはハーグ条約加盟国であるため、日本の法務局では、出生証明書(本人)についてだけ、フィリピン外務省の「アポスティーユ」の認証を求めています。
■出生証明書(兄弟姉妹)と結婚証明書(父母、本人)には、アポスティーユ認証は不要です。
■また家族関係証明書の代わりとしては、他の国の申請者でも提出が必要になる「申述書」(申請者が申請者の両親の子どもで間違いないということを両親(基本的には母親)が手書きで作成し宣誓する書面)で代用とし、加えて「申述書」が送られてきたときに使用された「国際郵送の封筒」を「申述書」と併せて提出することが法務局から求められます(国際郵送の封筒も捨てずに保管しておくことが重要)。
フィリピン人の国籍離脱
■日本は二重国籍を認めていませんが、フィリピンは二重国籍を認める国なので、フィリピン国籍を自らの意思で放棄する必要があります。
■帰化許可後に、フィリピン大使館で、国籍喪失の手続きを行います。