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(この投稿は最新情報である)
「原則10年在留に関する特例」に該当する『日本人の配偶者』
■出入国在留管理庁(入管)発表の永住許可に関するガイドライン(最新・令和6年6月10日改訂)の「2.原則10年在留に関する特例」には、1番目に、
(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
と書かれています。
■本来の永住要件(永住許可に関するガイドライン「1.法律上の要件」)は、以下の通りです。
(1)素行が善良であること(素行善良要件)
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
■つまり、日本人と結婚したその外国人配偶者は、結婚後、就労することなく最短3年、その内の直近の1年間は日本で結婚生活を送っていれば、永住要件を満たすということになります。
※「日本人の配偶者」の在留資格の期間(ビザの在留期間)は3年以上であることが求められます。
(例)
①日本人の独身男性・会社員Aが、会社(日本企業)の異動で中国の支社に転勤。
②中国の支社で働くうちに現地の中国人女性Bと恋愛関係となり、1年後に中国で結婚。
③中国で結婚生活2年が過ぎた頃、会社の異動で日本に戻ることに。
④中国人妻Bとは、いずれ日本に戻るという約束で結婚しており、問題なくBを連れてAは日本に帰国。
⑤妻Bは「日本人の配偶者」ビザで、Aと日本で結婚生活を1年以上継続。
→妻Bは、この時点で、永住要件を満たすことになります。
■永住許可申請書類も、一般(就労資格等の外国人)の永住許可申請とは異なってきます。
『日本人の配偶者』の場合に必要な提出書類・不要な書類・個別作成の書類など
■日本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
■年収と税金を確認する書類
・住民税の課税証明書 直近5年分3年分
・住民税の納税証明書 直近5年分3年分
※ガイドラインで「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留」としているので、年収、税金を確認する証明書類の必要期間も短くなります。
■一般(就労資格等の外国人)の永住許可申請に必要な「理由書」は、日本人配偶者の場合は、任意とされています(つまり、基本、要らない)。
■身元保証人は通常は配偶者(日本人)となります(入管は配偶者たる日本人が身元保証人となることを想定しています)。
■一方、何らかの事情で、身元保証人を配偶者(日本人)でなく、別の人にお願いするなどの他、イレギュラーなケースは、「説明書」(個別対応)の作成・提出が必要になってくると考えられます。
■上記のように身元保証人を配偶者(日本人)以外の別の人にする場合、少なくとも、申請人とその身元保証人との関係について、「説明書」で説明する必要があると考えられます(関係性を示すエビデンス資料も提出した方がよい)。
■また、そもそも「日本人の配偶者」ビザを持っていても、つまり婚姻当初は実体を伴った結婚生活であったとしても、その後「別居」に至るなど、婚姻の実体が入管に疑われるような状態になれば、永住資格の取得は難しくなるため、このような場合も、「別居」の合理的理由があるのであれば、それを「説明書」で説明することになります。
■夫が仕事の都合で単身赴任をしているとか、夫が働けなくなり妻が地方に働きに出ているといったようなケースなどは、月の3分の2は別居であるというような場合であったとしても、一緒に暮らしていない期間において合理的な理由が説明できるのであれば、永住許可の可能性は高まります。
■入管は、そもそも、「日本人の配偶者」ビザの更新の審査において、実体を伴った結婚生活であるか否かを見ているため、少なくとも、住民票が別になっている場合など明確な事象が確認できれば、仮に「日本人の配偶者」ビザの更新は出来たとしても、永住審査の許可は出ないということになってしまいますので、注意が必要です。
■なお、「日本人の配偶者等」の在留資格ではなく、就労系の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留している場合であっても、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留しているのであれば、永住資格取得のための要件は満たしているということになります。