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「居住要件」とは

国籍法第5条1項の1では、帰化の「居住要件」について、

引き続き五年以上日本に住所を有すること」

と定められていますが、この条文の重要な点は、「引き続き」と「5年以上」です。

引き続き」とは

5年の間に連続して3カ月以上出国していないこと

年間合計100日以上出国していないこと

が目安となります。

連続して3ヵ月以上」というのは、法務局によっては2カ月以上というところもあるようです。

年間合計100日以上」というのは、「途切れ途切れで出国していたとしてもその合計」という意味になり、また「年間合計」の「年間」の意味は、「1月1日から12月31日」と期間を特定する意味ではなく、5年の間に毎日を起点として1年間、という意味になります。

5年以上」には、法律の条文からは分かりませんが、

「原則、5年のうち、3年以上就労していること」

という意味が含まれています。

そして、この「3年以上就労」というのは、正社員、契約社員、派遣社員などで働くことを意味しており、アルバイトは含まれません


「居住要件」には「生計要件」と「素行要件」が隠れている

居住要件」の中の「3年以上就労」には、実は「生計要件」と「素行要件」が隠れていると言えます。

3年以上就労」といっても、ケースバイケース

①正社員(1年)→アルバイト(1年)→派遣社員(2年)→アルバイト(1年)→正社員(1年

②契約社員(1年)→アルバイト(1年)→契約社員(2年)→正社員(6ヵ月

③正社員(3年)→失業・就職活動(6ヵ月)→正社員(1年

はアルバイトが途中で挟まっており、また転職が多いというイメージですが、「3年以上就労」(4年)をクリアしていると考えられ、問題ないと思われます。
転職が多いということは、基本的には帰化審査に影響しないと考えられます。

は「3年以上就労」(3年6ヵ月)をクリアしており問題なさそうですが、直近の正社員6ヵ月というのは、要注意であり、つまり、転職後1年未満の場合は、「この人、今の仕事に定着できるのかな」「生計が不安」というふうに見られかねません。つまり「生計要件」に問題あり、ということになってきます。

は「3年以上就労」(4年)をクリアし、直近の正社員も1年であり、②のような「生計の不安」もなさそうですが、失業期間が間に挟まっています。


失業期間と年金(素行要件)

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は、国民年金厚生年金いずれかの年金制度に加入しなければなりません。

社員として働いている間は、厚生年金に加入していて、給料から厚生年金保険料が天引きされており、年金保険料を払っていますが、失業期間中は、厚生年金に加入した状態になっておらず国民年金に切り替え国民年金保険料を払わなければいけないという状態になっています。

実際、失業期間中に、国民年金に切り替えて年金保険料を払っているという人は少ないと考えられ、しかしこの状態は、年金保険料の未納ということになり、「素行要件」に引っ掛かってしまいます。

■「払うべきものを払っていない」というのは、帰化ではNGであり、つまり「3年以上就労」には、このように年金に関わる「素行要件」が隠れているというわけです。

この失業期間中適法に国民年金保険料の免除を受けていたとしても、それは今度は「生計要件」に引っ掛かる、ということになってしまいます。

③のようなケースでは、未納である国民年金保険料の追納手続きが、帰化申請の前に必要、ということになってきます。

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