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住民票と住民票の除票
■帰化するためには、国籍法第5条で定められる居住要件「引き続き五年以上日本に住所を有すること」を充足しなければなりません(緩和要件に該当する場合を除く)。
■この居住要件を充足していることの証明書類として住民票、あるいは住民票の除票が必要になります。
■住民票は、
・現在そこに住んでいる
・国籍はどこなのか
・いつその市区町村の住民になったのか
ということを、その市区町村が証明する書類。
■住民票の除票は、
・過去にそこに住んでいた
・どこ(国籍)から来て、いつその市区町村の住民になったのか
・どこへいつ移って行ったのか
ということを、その市区町村が証明する書類。
住民票と住民票の除票の両方が必要にケース
■日本に入国後、東京・大田区に3年、東京・品川区に4年で合計7年、日本に居住しているケースを考えてみます。
■上のケースだと「5年以上日本に住所を有する」の居住要件を満たしていると考えられます。
■しかしこのケースだと、品川区の住民票は当然取りますが、品川区の住民票だけだと、日本に4年住んでいることしか証明できません。
■ここで、大田区の住民票の除票が必要になってくるわけです。
■大田区の住民票の除票には、国籍と、大田区の住民になった日が書いてあります。
■そして、いつ大田区を出ていったか、どこに移っていったか、つまり品川区に、いつ移って行ったかが書かれています。
■これで、品川区の住民票と、大田区の住民票の除票で、日本で暮らした7年間がつながる、日本で暮らした7年間が証明される、ということになります。
住民票は必要、住民票の除票は必要ないと考えられるケース
■日本に入国後、東京・大田区に1年、東京・品川区に6年で合計7年、日本に居住しているケースはどうでしょうか。
■このケースだと、品川区の住民票だけで、「5年以上日本に住所を有する」の居住要件を満たしてることが証明でき、大田区の住民票の除票は、必要ないと考えられます。
■一方で、東京法務局のホームページに掲載されている、法務省の「帰化許可申請のてびき」の9ページに「5 居住歴を証する書面」には、
『(1) 申請者は、(中略)法定の住所期間内の居住歴が記載された住民票の写しを提出してください。』
と書かれていることに加え、
『(3) 申請者の配偶者(元配偶者を含む。)は、婚姻期間中の居住歴が記載された住民票の写し(又は戸籍の附票の写し)を提出してください。 (以下略)』
と書かれています。
■申請者の「法定の住所期間」は、すなわち5年のことを言っていると考えられます。
■しかし申請者の配偶者は、「婚姻期間中」の住民票を提出するようにと、言っているわけです。
■申請者に配偶者がいて、申請者がその配偶者とともに日本にやってきて、東京・大田区に1年、東京・品川区に6年で合計7年、日本に居住しているケースを考えると、疑問点が出てきます。
■配偶者も、帰化申請の有無に関わらず、住民票の提出が必要であり、かつ、「婚姻期間中」の住民票が必要であると言っているわけです。
■つまり、この「大田区1年、品川区6年、合計7年」のケースでも、配偶者は、日本に来た時から申請者と結婚しているので、「帰化許可申請のてびき」に従うと、大田区の住民票の除票と、品川区の住民票の両方が必要ということに、なってしまいます。
■そしてそう考えると、このようなケースでは、申請者も大田区の住民票の除票を取っておいた方がいいのでは、という疑問がわいてくるわけです。
■そもそも帰化申請というのは、必要書類はケースバイケース(法務局や法務局の担当者にもよる)という側面があります。
■このようなケースでいえば、確実路線としては、申請者も、配偶者とも、大田区の住民票の除票、品川区の住民票の両方を取ってしまえばいいのではないでしょうか。