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永住者の何が変わる?
2024年6月14日、改正入管法が成立しました(2027年までに施行)。
とりわけ、永住者の在留資格の取消しに関わる改正内容が物議を醸しています。
<改正内容の概要>
■永住許可要件に「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」の文言を追加
■永住取消し要件として、
・この法律に規定する義務を遵守せず(中略)、又は故意に公租公課の支払をしないこと
・(前略)罪により拘禁刑(執行猶予含む)に処されたこと(※)
を追加
※拘禁刑:懲役刑と禁固刑を一本化、2025年6月1日施行
※現行では1年超の実刑を受けた場合、退去強制できる
■「法律に規定する義務を遵守せず」により、在留カードの常時携帯義務違反などの軽微な違反も永住取消し対象となり得ることとなった
■取消し要件の事実が判明した場合の、他の在留資格への変更条項を追加(※)
※在留が適当でない場合は永住許可取消し→出国
※政府は一定の在留期間はあるが就労分野に制限がない「定住者」への変更を想定していると説明
■永住取消しに係る、国又は地方公共団体の職員による通報条項を追加
<法文上は以下のような変更・追加>
(永住許可)
第二十二条 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。
2 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号のいずれにも適合し、かつ、この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等(追加)、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる(後略)。
(在留資格の取消し)
第二十二条の四 法務大臣は、(中略)次の各号に掲げる事実のいずれかが判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。
(追加)
・永住者の在留資格をもって在留する者が、この法律に規定する義務を遵守せず(中略)、又は故意に公租公課の支払をしないこと。
・永住者の在留資格をもって在留する者が、刑法(中略)の罪、暴力行為等処罰に関する法律(中略)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(中略)の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(中略)の罪により拘禁刑に処されたこと。
※第二十二条の四に追加された「この法律に規定する義務を遵守せず」に、第二十三条(旅券等の携帯及び提示)2項が抵触。
(旅券等の携帯及び提示)
第二十三条 (前略)
2 中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、常にこれを携帯していなければならない(後略)。
(追加)
(永住者の在留資格の取消しに伴う職権による在留資格の変更)
第二十二条の六 法務大臣は、永住者の在留資格をもって在留する外国人について、第二十二条の四(中略)事実が判明したことにより在留資格の取消しをしようとする場合には、(中略)当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、職権で、永住者の在留資格以外の在留資格への変更を許可するものとする。
(在留資格の取消しに係る通報)
第六十二条の二 国又は地方公共団体の職員は、(中略)該当すると思料する外国人を知ったときは、その旨を通報することができる。