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帰化の居住要件

国籍法第5条第1項第1号には

第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。

一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。

と書かれており、これがまさに帰化の居住要件です。

しかし、帰化のこの5年以上の居住要件には、就労3年以上という要件が実は隠れ含まれています(法務局がそういう運用をしています)。

一方で、その次と次の条項、国籍法第6条そして第7条には、簡易帰化要件として、このように書かれています。

第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 (省略)

二 (省略)

三 引き続き十年以上日本に居所を有する者

第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。(後略)

国籍法第6条3号では、「引き続き十年以上日本に居所を有する者」は、「引き続き五年以上」の居住要件を備えなくて良いと言っているわけです。

いやいや、ちょっと待ってと、何言ってるのと、10年以上居住しているんだから、5年以上の居住も何もないでしょう・・・。

でも、これが当てはまるケースが実はあります。

留学9年+就労1年で10年。

極端に言えば、留学10年で10年。

国籍法第6条3号の「10年以上居住」は、国籍法第5条第1項第1号の「5年以上居住」に隠れ含まれている「3年以上就労」が必要なくなる、という解釈ができ得ることになります。

また、国籍法第7条の条文は、3年以上日本に居住している日本人の配偶者は、「引き続き五年以上」の居住要件を備えなくて良いと言っています。

これもやはり、「5年以上居住」に隠れ含まれている「3年以上就労」が必要なくなるいという解釈が、以下のようなケースでできるということになります。

留学2年+就労1年で3年、そして日本人と結婚。

極端に言えば、留学3年で日本人と結婚。

要するに、この国籍法第6条と第7条では、
・10年以上日本に居住していたら
あるいは、
・3年以上日本居住ののち、日本人と結婚したら
理屈の上では、就労条件に関わらず、すぐにでも帰化申請可能ということになってくるわけです。


簡易帰化といっても「就労」ゼロで良いのか


ここまで国籍法第5条第1項第1号の「居住5年以上」が、国籍法第6条、第7条の簡易帰化要件を満たすことによって緩和され、それに伴って「就労3年以上」も緩和される、極端に言えば「就労ゼロ」でも帰化申請でき得るのでは、といったご説明をしてきました。

しかし、それは理屈の上での話であり、この簡易帰化要件、そのまま鵜呑みにできないというのも、これまた事実です。

要するに、帰化申請、法務局の審査はブラックボックスなのであり、「就労3年以上」は必要ないと解釈できるものの、しかし「就労ゼロ」で本当に大丈夫なの、ということはもちろんあります。

先ほどの事例で、敢えて挙げているパターンなのですが、

留学9年+就労1年で10年。

留学2年+就労1年で3年、そして日本人と結婚。

より確実路線をいくなら、というか、生計要件をそもそも満たすのかということもあるので、やはり、3年就労は必要ないとしても、せめて1年間の就労実績はあった方が良いと考えられます。

例えばですが、日本人の夫と死別した永住者たる外国人妻(専業主婦)の帰化申請を考えた場合、もちろん帰化申請するにあたり「就労1年以上」の実績を積んだ方が良いということです。

しかし夫の相続により1億円の現預金を主とする資産がある(負債がない)ということで、かつ、これから働くということであれば、生計に問題がないという判断にもなり得て、このようなケースでは帰化申請可能な場合があるとも考えられます。

とにかく、この「居住5年以上」要件緩和の簡易帰化で、帰化申請についてお考えの方は、やはりまずは、行政書士などの専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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