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国民年金と厚生年金
■会社員であれば、厚生年金に加入していますから、年金保険料は給料から天引きされ、自動的に納付されており、厚生年金加入期間中に年金保険料未納の問題は起らないはずです。
(まれに会社側が厚生年金保険料を納めていなかったというケースは起りえます)
■一方、20歳以上の学生や、転職・就職活動期間中の人は、厚生年金には加入していないことになりますから、この学生の期間、転職・就職活動の期間は、自ら国民年金に加入して国民年金保険料を納付する必要があります。
■日本にやってきた外国人の方で、この国民年金保険料を払っていなかったというケースが、よくあります。
■そもそも学生には「学生納付特例制度」というのがあって、適法に、国民年金保険料の納付が猶予されるという制度があります(あくまでも「猶予」です)。
■また、学生でなくても、経済的に困窮しているという理由から、適法に年金保険料納付の免除・猶予が受けられる、という制度もあります。
■はたまた、何も手続きせずに学生期間や、転職・就職活動期間中に、国民年金保険料を単に払っていなかったという人もいます。
■日本に初めてやって来て、まずは日本語学校に通っているという外国人の方は、日本での生活や学業に慣れるのに精一杯であり、国民年金への加入のことなど頭になくても無理もありません。
■「留学」ビザで来日しているわけですから、就労は「資格外活動」許可を取った上で、週に28時間以内しかできず、収入は限られた状態であるので、実際問題、この学生期間中に国民年金保険料未納となる外国人の方は、決して少なくはないと言えます。
■しかし、いずれにせよ、20歳以上であれば、日本人であろうが外国人であろうが、国民年金保険への加入、そして保険料の納付はする必要があります。
■また、帰化の審査の観点で見れば、「適法に免除・猶予」も「単に払っていなかった」も、基本的に払っていないことに、変わりはありません。
■帰化の審査では、過去のこのような国民年金保険料の未納があると、基本的に「素行要件」を充足してないということになってきます。
国民年金保険料の未納はどこまでさかのぼってチェックされるのか
■国民年金保険料の未納は、帰化の素行要件に引っかかってきます。
■そうは言っても、保険料の未納はどこまでさかのぼって未納をチェックをされるのか、ということがあります。
■国民年金保険料は、納付期限から2年を過ぎると、「時効」により納めなくてもよくなります。
■「時効」というのは、法律論になって難しくなってしまうため、ここで詳しい説明は省きますが、とにかく納付期限から2年を過ぎれば、国民年金保険料は「払わなくてもよい」ということになるわけです。
■一方で、国民年金保険料には追納制度というものがあり、追納が承認された月の前の10年以内に免除や猶予等で払っていなかった保険料は、追納が可能です。
■「2年を過ぎれば払わなくてもよくなる」「しかし10年間は追納できる」とは、何とも不可解な話のように感じます。
■日本年金機構としては、納付期限から2年を過ぎた国民年金保険料の未納は「払わなくてもよい」と言っているだけで、「払うな」とは言っていません。逆に10年はさかのぼって「追納はできます、追納すれば、あなたの老後の年金が増えますよ」と言っているのです。
■日本年金機構のHPには、「国民年金保険料の追納制度」の説明があって、「国民年金保険料追納申込書」が掲載されています。

■東京法務局のHPを見ると、帰化申請の提出書類として、社会保険料の納付証明書を求めています。
・公的年金保険料の納付証明書(直近1年分)
・ねんきん定期便の写し、年金保険料の領収書の写し、被保険者記録照会回答票、ねんきんネット年金情報を印刷したもの等
と記載されていて、提出書類としては「直近1年」と書いてあります。
■しかし、実際の帰化審査の運用としては、最低でも直近2年間の納付実績の証明が必要であり、さらに、前記の10年の話にもなってくるわけです。法務局としてはこの10年に目をつけてくる場合があります。
■東京法務局のHPや、法務省の「帰化許可申請の手引き」には、「10年さかのぼって」などとは書かれていません。
■しかし帰化の審査過程で、通常は帰化の面接において、国民年金保険料の未納は、過去10年さかのぼって、「払えますか」「払えるなら今からでも払ってください」と言われる可能性があります。
■何も言われないまま、帰化許可される人もいるかもしれませんが、「払えますか」と言われてしまったら、ここはもう払うしかないと思います。払わなければ帰化の許可がされない可能性があります。
■この「10年さかのぼって問題」は、法務局しだい、審査官しだい、としか言いようがありません。
■ただ、帰化申請の時点では、追納までして10年間の未納を無くす必要はないと思います。
■「払えますか」と言われたら「払う」というスタンスで良いかと思います。そしてその時は、未納分は一括納付が望ましい、「払いきる」ことが重要かと思います。